「うちの子の何か得意な分野を作ってあげたい!」

「将来の就労のことも考えると、何か一つ強みを持たせてあげたいな…」

とお思いの親御さんは全国に多いかと思います。

障害をお持ちのお子さんに何か一つ得意分野を作ってあげる。

そのために様々な習い事がありますが、そのうちでも人気なのが「プログラミング教室」です。

パソコンを使う力はもちろんのこと、プログラミングができるようになれば、仕事の幅が広がるのではないか…と思ったりしますよね。

今回は、発達障害のお子さん向けのプログラミング教室はどんなものなのか、現実的にプログラミングを学ぶとどうなるのか、について詳しくお伝えしていきます。

なぜ発達障害のお子さんにはプログラミング教室が選ばれるのか?

理由は3つあります。

  • プログラミングスキルを身に着けると仕事の選択肢が広がる
  • 論理的思考力を身に着けることができる
  • 基礎的なパソコンスキルが身に付く

プログラミングスキルを身に着けると仕事の選択肢が広がる

パソコンをかんたんなレベルで触ることができる方と、プログラミングもできる人とでは仕事の選択肢が全く違ってきます。

障害者採用枠での募集件数は必ず多いとは言えませんが、

  • Web開発のエンジニア
  • 製造業におけるシステム設計、開発、保守、運用
  • HTMLやCSSを使ったホームページ編集
  • ゲーム・アプリの開発

などなど、勤務地を問わない場合、様々な募集案件を見つけることができます。

ただ、問題は「コミュニケーションがとれるかどうか」ということ。

プログラミングで仕事をする際には、必ず「お客様」や「上司」などの人が、

「こういうものを作ってほしいんだけれども」

「ここをもっとこうしてほしいなぁ」

と要望を伝えてくれるシーンが非常に多いです。

相手の意図をくみ取り、それを自分の仕事に反映させていく必要があります。

あくまでレベルは軽度の障害をお持ちの方、人とのコミュニケーションを自力でとれる方に限られてくるでしょうが、障害をお持ちだったとしてもプログラミングスキルを活かしてそういった仕事に就くことは可能です。

論理的思考力を身に着けることができる

論理的思考力とは、

  • 物事がうまくいかないときに「なぜうまくいかないのか」を考える力
  • どこを修正すれば「うまくいくのか」を考える力
  • 「こうすれば、こういうふうになる」というように物事を順序だてて考える力

といったような力です。

これは、プログラミングだけで必要な力ではありません。

学校や、社会人生活でも必要とされる、生き抜く力でもあります。

困難な場面に直面した時にすぐにあきらめてしまうのではなく、自分で「なんでだろう」と考えて「こうしたらうまくいくんじゃないか」「次はこうしてみよう」と動くことが求められます。

そのような考える力をつけることができるのが、プログラミング教室の授業です。

プログラミング教室で出される課題でも、一度自分でプログラミングをし、お手本通りにいかない場合は自分で「どこが悪いのか」「どうしたらうまくいくのか」と考えるのが基本になっています。

そのような習慣を若いうちから付けておくことは、将来社会人になった際にはかなり有利であると言えるでしょう。

基礎的なパソコンスキルが身に付く

別にプログラミング教室に行くからと言って、絶対にプログラマーやシステムエンジニアにならなければいけないわけではありません。

あくまで、先ほどご紹介した論理的思考力や基本的なパソコンスキルを身に着けるために通うのも間違いではないからです。

プログラミング教室に通うと、日常的にパソコンを使用しますので抵抗なくパソコンスキルの基礎を身に着けることができます。

マウス操作、タイピング(文字入力)は、今の時代の業務で使わないときはありませんし、将来的になくなるわけでもありません。

基礎のパソコンスキルを身に付けておくことは、プログラマー以外のパソコンを使う仕事、事務職やデータ入力の仕事でも生かすことができます。

プログラミング教室で学ぶのに適性は関係あるのか?

適性はある程度関係があります。

  • パソコンを触るのに抵抗なくできる
  • 一つの物事に集中して取り組むことができる

この2点がお子さんに当てはまるかどうかです。

また、実際もし当てはまったとしても、プログラミング教室に通いだして

「いやだ…もう行きたくない」

とならないかどうかも問題となってきます。

こればかりはどんな障害をお持ちの方でも、一度やってみないことには分かりません。

ですので、もしプログラミング教室にお子さんを通わせるのであれば、念入りに体験を重ねてみてからの入会を決めた方が賢明であると言えます。

また、「注意欠陥多動性障害」や「チック」をお持ちのような、教室でなかなかじっとしていられないお子さんであれば、ほかのお子さんと仲良くできなかったりします。

その場合は、個人レッスンができないかどうかも教室に問い合わせてみると良いでしょう。

障害や特性を持った方々の就労現状は

職種は限られるのが今までの常識

現在、障害をお持ちの方々の就労の現状はどうなっているのでしょうか。

全ての就労移行支援施設や、A型作業所、B型作業所に言えたことではありませんが、障害をお持ちの方の就労職種というのは非常に限られているのが現状です。

まず、障害者雇用枠を設けている企業が多くありません。

そのうえ、大体「障害をお持ちの方にでもできる仕事を提供」という傾向が強いので、その結果似たり寄ったりの職種の募集になってはいます。

  • 清掃業
  • お店の品出しや軽い接客
  • 軽作業
  • 品物の検品、袋詰め

こういった職種は、今も昔も就労支援施設、作業所で提供される「定番」の仕事ではあります。

近年はパソコンを使った職種も増えてきている

ただ近年、パソコンを使用した業務の募集案件というのも増えてきているのは事実です。

パソコンを触るのが得意、抵抗なく触ることができるスキルをお持ちの方であれば、以下のようなパソコンを使用する職種に就くことも可能ではあります。

  • アンケートのデータ入力
  • DMの送信
  • コピー&ペーストによる商品情報の登録
  • ネットショッピングの出品

などなど、主にパソコンの基本操作をメインとした求人案件も増えてきています。

「どうしてもプログラマーに…」という方であれば難しいかもしれませんが、

「パソコンを使用した職種に就きたい」

「パソコンが好きだから、得意なスキルを活かしてあげたい」

という場合、プログラマーという職種に限定しなければ、こういった職種に就くことができるでしょう。

プログラミング関連の職種紹介は難しい傾向も

「プログラマーとして働きたい!」

という方もいらっしゃるかもしれませんが、実際、そういった就労支援施設や作業所がそのような仕事の案件を紹介してくれるかと言われれば、そうでないことの方が大半です。

最初にお話ししたようなプログラマーやエンジニアの求人案件は、どちらかと言いますと、求人サイトで検索すると掲載されているようなものが多いです。

実際もし応募したいというのであれば、お子さんご本人、もしくは親御さんも同伴した状態で、直接企業と連絡を取っての応募、という形になるのがほとんどでしょう。

ですので、就労支援施設などのサービスを利用する際は、なかなかそういった求人とは出会いづらいことを覚悟しておく必要があります。

好き、得意を仕事にすることで自己肯定することができるようになる

先ほどお伝えしたように、障害をお持ちの方の就労職種は非常に限られているというのが現状です。

ただ、そういった中でも、

  • パソコンが好き
  • パソコンが得意

といった意識がある、長所を持っているのであれば、パソコンを通して働くことのできる職務に就ける可能性は十分あります。

その可能性を開くためにも、パソコン教室やプログラミング教室に通い始めるというのも一つ選択肢として検討されると良いかと思います。

発達障害のお子さんにおすすめできるプログラミング教室

現在、発達障害のお子さんに特化したプログラミング教室、パソコン教室はあります。

ただ、地方には非常に少なく都市部にしかない場合が多いです。

ですので、ご自身がお住いの地域によっては、一般のパソコンスクール、プログラミング教室の中から候補を探されるとよいでしょう。

発達障害向けのプログラミング教室

LITALICOワンダー

株式会社LITALICO(リタリコ)が運営するプログラミング教室です。

このLITALICOは、障害をお持ちの方への就労支援や転職などのサポート、障害をお持ちのお子さんへの学習サポートなども行っている会社で、「障害支援」に特化した会社です。

そのような会社が運営しているプログラミング教室ですので、特に発達障害をお持ちの方への支援・サポート体制は手厚いといえるでしょう。

ただ問題が、現在は東京、神奈川、千葉、埼玉の4つの都道府県の23校しかない、という点です。

関東圏にお住いの方であれば、何とか通える方もいらっしゃるかもしれません。

けれども、この地域外にお住いの方であればなかなか難しいですよね。

「オンライン授業」という制度もあり、全国で受講可能ではありますが、直接対面の授業を望まれている方であれば他のプログラミング教室を検討されてもよいかもしれません。

LITALICOワンダーの教室はこちらから検索することができます。

そのほか利用されているプログラミングスクール、プログラミングコンテンツ

自考力キッズ

株式会社アーテックが提供しているプログラミング学習コンテンツで、全国で多数のパソコン教室に採用されています。

1か月の間に「ブロックパズル(月2回)」「ロボット(月1回)」「プログラミング(月1回)」の月4回からコンテンツが成り立っています。

パズル、ロボット、プログラミングの3つのコンテンツでバランスよく

  • 論理思考力
  • 問題解決力
  • 忍耐力

を身に着けていこうという内容になっています。

毎週同じ内容をするのではなく、教材の中身もどんどんと変わっていきますので、飽きやすいお子さんでも取り組みやすくなっています。

教室検索はこちらからできるようになっていますので、ぜひご覧ください。

マイクラッチ(デジタネ)

エデュケーショナルデザイン株式会社が運営する、子供向けプログラミング教育コンテンツです。

現在子どもたちに人気のゲーム「マインクラッチ」の世界観の中で、プログラミングを学んでいこうというものです。

ゲームの中のキャラクターやアイテムがたくさん出てくるので、「プログラミングってちょっとわからない…」といったようなお子さんでもとっつきやすい内容になっています。

プログラミング自体も、小学校や全国の多くのプログラミング教室で使われている「スクラッチ」という、ブロックをつなげるだけでプログラミングができる言語を使用しています。

そのため、誰でも簡単にプログラミングを始めることができる内容となっています。

また、解説もプログラミングのプロがキャラクターに扮して動画でしっかり説明してくれていますので、わからない場合のサポートも安心です。

残念ながら教室検索はできないので、インターネット上で「〇〇県 マイクラッチ」と検索してみてください。

〇このブログ記事のまとめ〇

発達障害のお子さんがプログラミング教室に通うのはどんなメリットがあるか、また発達障害専門のプログラミング教室はあるのか、ということについてお伝えしてきました。

もしも習いたいとお考えであるのならば、一度お近くの教室に体験等に出られることをおすすめします。

入る、入らないは別として、ご自身のお子さんがパソコンやプログラミングに対して向いているのか、楽しいと思えるのかを確かめることが大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。