今の時代、どの職種でもパソコンを使う機会は非常に多くなりました。
昔は手書きが許された時代ですが、今はあらゆる業務内で、どこかしらにパソコンが必ず絡んできたりします。
その悩みは介護業界でも尽きません。
「空き時間に急いで報告書作ってって言われたけど、時間かかるし困ったなぁ」
「今度管理職になったんだけれども、パソコンそんなにできないからどうしよう」
といったような声が多くあふれています。
今回は、介護業界でのお仕事で
- 「一般的な」パソコンの使用用途
- どの程度のスキルがあればいいか
- スキルはどうやって身につければいいか
といったようなことについて、詳細をお伝えしていきます。
もくじ
現役介護職員のAさんに聞いてみた!
今回は、教室に通う現役の介護職員のAさんに、どのような場面でパソコンを使用することが多いか、パソコンのどんなことで困るかなど、体験談をお仕事に差し支えない範囲でお聞きしました。
Aさん |
現役の介護職員。
勤務している施設内でも古株of古株で、普段の利用者さんの介護・施設運営業務はもちろんのこと、他のスタッフのとりまとめ、フォローまで多岐にわたる業務内容をバリバリとこなしてしまうスーパー職員さん。 |
介護職ってパソコンを使うの?
一般的にパソコンを使う仕事でイメージをするのが、オフィスワークが多い会社ですよね。
事務だとか、営業だとか、プログラマなどなどそのような職業の人が使うといったイメージが多いです。
けれども案外、パソコンはそれら以外の職業でも使われますし、むしろフル活用されていたりします。
介護業界においてもそれは同様。
役職についていない一般職員でも使う機会はもちろんありますし、役職についたり、役職が上がったりしていくとそれに応じてパソコンを使う機会も自然と増えていきます。
多くの人のイメージが「介護=肉体労働」というものですので、あまりパソコンを使うという発想にはならないでしょう。
しかし、皆さんが思っているよりもパソコンを使う機会は非常に多く、それもいろいろな場面でパソコンの使用が求められます。
いざ介護職に就いたはいいけれども、「パソコンがわからない…」というパソコンとのギャップで悩むことは珍しくありません。
介護職ではどんな場面でパソコンを使うの?
では、ここでどのような場面で、パソコンを使うのかについてみていきましょう。
(すべての介護団体がこのような使い方をしているわけではありませんので、あくまで一般的な使用範囲とお考え下さい。)
- 利用者さんの健康状態や生活状況の報告書の作成
- 施設内の広報誌(簡易的な新聞)や各利用者さんの思い出を記録するアルバムなど記念品の作成
- 備品、生活用品等で購入した証拠書類の保存(領収書等)
- その他各種報告書の作成
- 会議の議事録の作成
- 運営上の目標の作成
- 毎月の売り上げ報告
- 備品等の管理棚卸
- 各種申請書類
- 施設内に展示するポスターチラシの作成
簡単にざっと記述してみました。
もちろんこれ以外にも筆者が聞き落とした業務内容などはあるかと思いますが、大体このような場面でパソコンを使用する機会があると思ってください。
どれくらいパソコンが使えるならOK?
一番気になるのが、どの程度パソコンを使えれば大丈夫かどうか、ですよね。
あくまで筆者の独自の意見になりますが、大体この程度パソコンが使えるようであれば、一般の職員の方は勤務できるのではないかという基準をご紹介します。
マウス操作
すべてできる必要があり(クリック、ダブルクリック、ドラッグ、右クリック)
タイピング(文字入力)
指遣いは完璧でなくて大丈夫なので、ゆっくりでも日本語入力ができること
ちなみに入力速度は速ければ速いほど仕事が片付きやすい
Officeソフト
Word(ワード)やExcel(エクセル)の簡単な機能が使えればOK
PowerPointは余裕があれば簡単な使い方を覚えておくとよし
Word
- 文字の入力
- 文字の装飾(サイズの変更、フォントの変更、色の変更、太字、下線を引く)
- 文字のコピー・切り取り
- 表の作成・簡易的な装飾・配置の変更
- 写真やイラストの挿入・大きさ場所の変更
- 用紙のサイズ変更・縦書き横書き変更・用紙の余白調節
- 文書の保存・印刷
Excel
- 文字の入力
- 文字の装飾(サイズの変更、フォントの変更、色の変更、太字、下線を引く)
- 文字のコピー・切り取り
- 簡易的な表の作成(データを入力し、周囲に線を引いて…といった一般的なもの)
- シートの管理(シート名の変更・シートのコピー、複製したシートのデータの変更など)
- 印刷設定(ページを1枚に収める、印刷範囲をどこからどこまでと指定するなど)
- ブック(Excelで作ったデータのこと)の保存・印刷
※WordやExcelを使用する機会が圧倒的だというお話なので、PowerPointは今回割愛します。
メールの使い方
施設の本部にデータを送る等、やり取りをすることもあるので、メールの簡単な機能を知っておく必要がある
- 新しいメールの作成(件名を入れたり、相手先のメールアドレスを入れたり、本文を入力したり、など)
- 届いたメールを見る
- データを添付する(画像や文書、データなど、必要な資料をメール本文と一緒に送る機能)
- 相手から添付されたデータをダウンロードする(パソコンに取り込むことをダウンロードという)
エクスプローラーの使い方
エクスプローラーは、パソコン内でのデータ(文書など)の管理をするもの
- データの場所を変更
- テーマ(年度別、月別、種類別等々)別に入れ物(フォルダ)に分けてデータを入れる
- データや入れ物(フォルダ)の名前の変更
ざっと以上のことができれば、必要最低限の仕事はできるかと思います。
もし、このレベルのことができなくても、文字入力とマウス操作ができれば何とかなります。
ただ、施設側から「それでは困るから早くいろんなことができるようになって」と言われたのならば、そのときにパソコンスクール等に通うなど、対策法を検討するとよいでしょう。
みんな実際にパソコンは使えているの?
「そんなにパソコンを使う機会があるなら、私使えないとやばいじゃん!」
「みんなきっとパソコンのエキスパートなんだろうなぁ…」
と悲しく思う人もいらっしゃるかもしれませんが、案外心配する必要はありません。
筆者がインタビューしたAさんに聞いてみると、Aさんの勤務している施設でもパソコンを使いこなせるスタッフさんはいるものの、みんな最初からバリバリ使えるわけではなかったといいます。
実際、Aさん自身もパソコンが苦手で当パソコン教室に通ってくださっていますが、実際にだんだんできるようになるのは、実務を重ねてからだとおっしゃいます。
Aさん談:なかなか操作が覚えられないことに対して
「うーん、やっぱり何回も回数を重ねてかなぁ。
暇な時間に教えてもらったりしてもやっぱり、頭に入らないものは入らないし。
その業務をやらなければいけないときにならないと、頭が真剣モードにならないのよ。
だから、すぐに覚えられなくても心配しなくていいと思う。
メモを取ったり、真剣に教えてもらうことを聞いてさえいれば、周りはすぐに覚えられなくても理解してくれるから」
ですので、介護職に就職してパソコンが全然使えないご自身を嘆くことはありません。
何もかもできなくても心配することはないのです。
ただ、必死で学び続ける必要はありますし、一日も早く覚えることでご自身の業務がスムーズに回ることにもつながります。
できないことに対しては心配する必要はありませんが、できるために必死で努力することは忘れてはいけません。
パソコン作業は場合によって後回しになったりすることも
もし、ご自身の文字入力や文書作成のスピードが遅い場合。
パソコン作業は、日々の仕事の中で後回しになる可能性もあります。
なぜかといいますと、やはり介護では利用者さんのお世話が最優先になってくるからです。
例えば、以下のような事例があった時を考えてみましょう。
- 普段から歩けない(杖なしでは無理だったり、よろよろしていたりする場合)利用者さんが突然ベットから立ち上がったとき
- 決められた時間に利用者さんの入浴を済ませなければならないとき
などなど、優先順位が高いことがパソコン作業中に発生したとしましょう。
その場合は、放っておくことはできませんから、パソコン作業を止めて対応に当たらなければなりません。
そうすると必然的に、他の業務が落ち着いた時間帯、空いた時間帯でなければパソコン作業はできなくなってくるわけです。
空いた時間内にパソコン作業を終わらせようと思ったら。
いずれは入力もそれなりに速くならなくてはいけませんし、画面を見ただけでサッと操作ができることが理想形です。
パソコンはそこまで得意じゃないけれども、使うのは苦痛ではない。
そこまで早くもないけれども、時間内にやらなければいけないパソコン作業を終えられる。
このようなレベルになれば、パソコンの作業で困ることは必然的に少なくなってきます。
周囲に助けてもらいながら解決していこう
パソコン作業が思うようにできないのであれば、最初は多少の居残りは覚悟しないといけません。
利用者さんファーストのお仕事になってくるので、パソコンはどうしても後回しにしがちなものです。
中には休みの日に出勤して作業を終わらせないといけない場合もあります。
その点は、理解をしておきましょう。
けれども、できない場合は一人で作業を続けるのではなく、周囲に助けを求めることが大切です。
もちろん、同僚や先輩が忙しそうにしているから聞きづらいということもあるでしょうが、特に最初のうちはタイミングを見計らいさえすれば、どんどん聞いてもOK。
嫌そうな顔をされても、最初のうちはそれも先輩、同僚の仕事だと思って、平気な顔で聞けばいいでしょう。
介護に限らずどの業界でもそうですが、チームワークが求められます。
困っている人を助けるのは当たり前です。
そのため、どんどん頼って、どんどん聞くことで、うまーく業務をこなせるようになっていきます。
それでも難しい場合は習い事でパソコンを習うのもよし
職場で回数を重ねても身につくか心配だったり、そもそも人に迷惑をかけるのが好きでない方もいらっしゃるかと思います。
その場合は、パソコン教室に通ったり、パソコンに詳しい知り合いに教えてもらったりなどし、パソコンを学んでみるとよいでしょう。
普段からよくパソコンを触っている人は、変な画面が出てきたり、思った通りに操作が進まないのが何故なのかをよく知っています。
ご自身が普段困っていることが何故起こるのか、どうすれば解決ができるのか、などなどなんでも聞いてみるとよいでしょう。
人に聞くことが問題を解決するうえで近道になったりします。
〇このブログ記事のまとめ〇
介護のお仕事において、パソコンをどのような場面で使うか、求められるスキルはどれくらいか、困ったときはどうすればいいかなどなど、詳細をお伝えしてきました。
介護職に就いたけれども、パソコンが苦手という方の参考に少しでもなれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。