「若者、パソコンできない」が大学進学や就職を機に発覚

大学に進学したり、就職して仕事が始まったり。

新しい節目を迎えると同時に、やることも増えたり変わったりします。

パソコンもそのうちの一つ。

特に学生たちは、今まであまりパソコンを使わなかった環境から、急激にパソコンを使う環境に放り出され、

「こんな操作も知らないのか…!」

と言われることもあります。

ひたすらGoogle先生に聞いて、泣きべそをかきながらひたすら進むしかありません。

「夢のキャンパスライフが待っている…!」

「就職したからあとは安泰だー!」

なんて思っていても、パソコンスキルのせいで、一気に地獄に叩き落されることはしばしばあります。

なぜ、「今の若者たちはパソコンが使えない」と言われるのでしょうか。

「パソコン離れした」ではなく「せざるを得なかった」

若者のパソコン離れは大きな注目を集めていますよね。

ほとんどの若者がパソコンを利用しなくなったと考えられがちですが、案外そうではありません。

パソコンを「全く」使えないわけではないのです。

マウス操作はある程度普通にできます。

遅いながらもキーボード入力はできますし、検索するくらいはインターネットを最低限使えます。

自分で使える「方法」を編み出したりして、それなりに何とか対応をしてきました。

ただ、その後のプラスアルファーの

  • タッチタイピング(ブラインドタッチ)で文章をスムーズに入力する
  • Officeソフト(WordやExcel)を使ったり、使いこなしたり活用したりする力
  • パソコンの根本的な扱い方に対する知識の不足(サインイン、サインアウト等々)

これらがないだけ。

ただ単にそれだけなのです。

なぜかというと、今まで学校で十分にパソコンに触れる機会がなかったから。

そして、学校では少ししか使えなくても問題視されてこなかったからです。

「そんなわけないでしょ、今の子は十分に進んでるはずよ」

と考える大人が多い現在ですが、それは2020年代現在、学校に通っている子どもたちのみ。

プログラミングの義務教育化の影響もあり、学校現場では急速にパソコンを使う機会が増えています。

小学生でも現在はタブレットパソコンを1台与えられるなど、地域に関係なく、日本全国でそのような学習環境の発達が見られています。

けれどもそれは、ごくごく最近のこと。

今の20代、30代、40代のバリバリ現役世代の方々=それまでに卒業してしまった子どもたち

は、今の子どもたちに比べて、触る機会があまりありませんでした。

2010年代は、パソコンが昔より安くなったといえども、まだまだ高かった時代。
(今でも十分高いですが)

お家にパソコンがない、という家庭もありました。

例えば筆者を例に挙げましょう。

(もちろん、地域の方向性や各学校によっても内容の相違や差はありますので、これがすべてではありません)

  • 小学校
    クラスで1人1台タブレットパソコンということはなく、パソコン室というところに行って、パソコンを触った記憶が5、6回あります。
    ただ、それだけです。
  • 中学校
    中学校に進んでも変わらず、「技術」の時間で数か月の間、週1度使っただけでした。
    もちろん、ワードやエクセルは数回しか使っていません。
    あとは、木の棚を作らされた記憶しかありません。
  • 高校
    その状態で高校に進学するも、高校でも週1の情報の時間に使うといっただけ。
    ここでやっとこさ、パワーポイントを使う機会を得ましたが、クラスの中にはパソコンが苦手で資料作成がやっとの子もいたくらいです。

日常的にパソコンを使う機会は高校になってやっと得られたほど。

ということは、そもそも小中学校ではまともに習っておらず、高校で基礎はサラッと表面をなぞって即実践に叩き込まれる、というスパルタ式でした。

これではさすがに、「パソコンが使える」「学校でパソコンを習ってきた」とはとても言えません。

そのため、触れるのは触れるものの、本格的に使う機会がなかったがために、パソコンが使えない世代と言われるのです。

スマホで何でもやる傾向に

スマホ世代の登場

筆者は高校時代、バリバリのスマホ世代でした。

周りの友人や生徒たちはみんなスマホを持っていて、LINEなどのSNSも目覚ましく発展していった時代。

パソコンでインターネットを使うなど、まぁ考えられません。

そもそも、学校でパソコンを使う機会がようやっと提供された、というところでしたから。

画面は小さくてパソコンには劣るものの、手軽に使えるし、スマホ自体の機能は高校生には十分すぎるほど。

スマホがあるだけで十分という考え方は、急速に浸透していきました。

スマホ世代の驚きの進化

こうやってスマホに慣れてきた世代は、大学生になると驚きの進化を遂げます。

それが「なんでもスマホでやってしまう」というもの。

「今週の2000字レポート、来週までにワードにまとめて提出するように!」

といったような入力をメインとした課題であれば、スマホでやってくる学生はちょくちょく見られました。

そもそもパソコンを持っていなかったり、学校で課題をするのがめんどうな学生であれば、スマートフォンでレポートも、発表の原稿もみーんな作っていました。

わざわざパソコンの前にこしかけ、スイッチを入れて起動してというのを理解していない、概念にない生徒もいました。

ですので、パソコンに抵抗がある生徒や、使い方がよく分かっていない学生は、

「無理矢理使えるように頑張る」

「使い方を必死で覚える」

というような選択肢より、

「スマホで乗り切る」

という選択をしたのです。

その結果、パソコンスキルを習得するのはどんどん先延ばしになり、結果として十分なパソコンスキルを身に付けないまま、社会人になっていく若者が増えてきたと考えられます。

学生時代にパソコンに「慣れる」作業を

このようなパソコンで迷える子羊たちはどうするべきなのでしょうか。

結論は、たった一つ。

余裕がある学生時代に、パソコンスキルをしっかり身に付ける、対策をしておくということです。

もちろん、子羊たち専用のパソコンの基本スキルを身に付ける授業は、ある程度大学で用意されていたりします。

しかし、それは半年ほどで終わるものがほとんどですし、覚えが悪い生徒にとっては十分とはとても言えません。

そのため、少なくとも意識せずとも自然とできるという状態になるまでは、パソコンに慣れるための努力をしなければなりません。

PC教室に通うもよし、YouTubeで無料公開されている講座を観るもよし。

そういった行動で少しでも自分が多くパソコンに触れる、慣れる機会を作ることが大切です。

大学での十分な機会の提供も求められる

また、就業先ではそういった機会の提供は、普通の研修以外にはなかなか難しいでしょう。

ただ、大学でできるのであれば、通年で最低限のパソコンスキルを磨く授業を設けるところが出てきても良いはずです。

自分たちの学生たちがパソコンある程度使いこなせる状態になるのであれば、就職先からの評判も良くなりますし、大学側としても悪くなく、むしろメリットになるでしょう。

今、学費が安い大学は滅多にありません。

奨学金を借りてまで通う学生もいるくらいです。

それならば、多少はパソコンスキルが身になる授業を、予算をまわして作るのもいいはずです。

大学で専門的なことを学ぶだけでは生きてはいけません。

就職や社会で必要とされる実践能力がなければ、いくら特定の分野に精通していても生きてはいけません。

実現するのはなかなか「非現実的」ですが、パソコンスキルを重視すること、これを全国の大学はもう少し行うべきではないかとも思います。

新入社員は待ったなし!

大学生ならまだ、

「パソコン、あんまし使ってこなかったんです…」

と言ってもまだ通用します。

運が良ければおじいちゃん教授が、

「この子は仕方がないねぇ(ニコニコ)」

と菩薩様のような笑顔で出迎えてくれることもあります。

けれども、これからの若者の皆さんが新人社員になって

「大学で(高校で)あまり使ってこなかったんです…」

と言い訳をしたところで、企業の皆さんに

「即戦力じゃないな、この子は」

と判断されるだけです。

いくらひよっこ新入社員だとしても、必要最低限の仕事はこなせるようにならないといけません。

そこでほとんどの会社の仕事のベースになってくるのが「パソコン」です。

基本操作のマスターはもちろん、よくネット上のお話で出てくるような、

「君、この文書と資料、明日までに仕上げておいて!いいね!」

といった業務での無茶ぶり事案が来たとて、少しは耐えられるようなスキルくらいは身につけておかなくてはなりません。

パソコンが得意になる必要はありませんから、「ふつー」に使えるようなレベルまでスキルを上げておくことは、今後のご自身のためにもなります。

○このブログ記事のまとめ○

筆者の独断と偏見が多い記事になりましたが、なぜ今の若者たちが「パソコンが使えない」と言われるのかについてお伝えしてきました。

なぜ使えないと言われるのか、使えるようにならなくてはいけないのかどうか、この記事を参考にいただけると大変嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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