よく求人でパソコンインストラクターの募集を見かけることがありますよね。

正社員で募集をしていたり、パートで募集がかかっていたりと、求人要項も様々。

もしかすると、「IT関連」の仕事の中でも、一番とっつきやすい仕事ではないでしょうか。

今回は、パソコン教室で働く中での「仕事内容」「必要な資格」「将来性」についてお伝えしていきます。

パソコン教室での仕事内容とは?

雇用は正社員とパートが主に見られ、責任の重さは違いますが、大体仕事内容は一緒ととらえても問題ないかと思います。

  • 授業の運営、質問対応
    →一斉授業なら学校の先生のような講義をする
    個別授業なら、各生徒さんの質問に答えるなどなど
  • 生徒さんの相談対応
    →「新しいパソコンを買いたい…」
    「家のパソコンで変な画面が出た」などなど、トラブルの相談、対応
  • 教室事務
    →テキストなど、教室備品の棚卸、在庫報告
    チラシ・パンフレットの補充
    生徒さんの休会・退会などの管理 などなど
  • 入会業務
    →無料体験の対応
    教室規約(ルール)の説明、入会書類の説明などなど
  • 教室への集客
    →入口や教室外でのビラ撒き、ポスティング、SNSなどでの宣伝等

主に以上のような内容が、インストラクターの業務です。

なお、これら以外にも業務はありますので、「パソコンを教える事」だけが仕事ではありません。

未経験でもインストラクター・講師として働けるの?

求人サイトなどを見てみると、パソコン教室の求人でよく見かけるのが、「未経験でもOK」といった文言。

意味合いでは、

「未経験でもOK」=「パソコンインストラクターとして働いたことがなくても大丈夫」

というふうに捉えられるのが一般的です。

要は、パソコンをある程度触ったことがあるならば、

  • パソコンインストラクターが持っているような専門知識を持っていない
  • パソコンインストラクター・講師としての指導経験がない

といった状態でも求人に応募することが可能ということです。

そのため、パソコンインストラクターをしたいけれども、今までやったことがない、職務経験がないという方でも応募してOK。

一方で、注意ポイントが。

今まで経験したことがないからといっていつまでも優しく指導してもらえるわけではない、ということです。

入って最初のうちや1年程度であれば、ミスをしたり、仕事が分からなくても「やったことがないよね、しょうがないよね」と済ましてくれることもあります。

ですが、パソコン教室が求めているのは1日でも早く「戦力」になるということ。

そのため、のんびりゆっくり仕事を覚えていくことはできないと思っておいたほうが良いです。

教室によっては研修期間が短かったり(あまりにも短すぎると問題ですが)、あまり経験がない状態でも生徒さんへの対応を求められることもあったりします。

その点を理解した上で応募をするとよいでしょう。

インストラクターになるための必要な資格は?

筆者の独断に基づいてお伝えします。

よく言われるのが、MOS(Microsoft Office Specialist)の取得。

他にもいろいろなパソコンの資格はありますが、現在はMOSが一番メジャーとされていて、生徒さんの中にもパソコンスキルの証明のために取得を目指す方が多いです。

インストラクターとして試験の授業も担当する可能性はありますから、一般レベルとされている「Specialist」は最低限、そしてできるならば上級レベルの「Expert」取得もしておくとよいでしょう。

インストラクターとしての実力の証明のために、もちろんこれより上のレベルの資格を目指すこともいいでしょう。

先ほどお伝えしたMOSに加えて、

  • ITパスポート(パソコンの仕組みや部品、ネットワークやセキュリティについても多少内容が問われる)
  • アドビ認定プロフェッショナル(PhotoshopやIllustratorの試験)

これらのような資格を持っておく、もしくはこのレベルの実力を持っていれば、ひとまずインストラクターとしては上出来ではないでしょうか。

しかし、突き詰めていきますとキリがありませんし、日本全国すべてのインストラクターが取得できるわけではありません。

何を取ったらいいか分からない方は、取りあえず「MOS」のWord、Excel、PowerPointは取得しておくとよいでしょう。

知らないことを聞かれるのは日常茶飯事

パソコンインストラクターとして働くには、絶えず自分で勉強、自習をして新しい知識、知らなかった分野の知識を取り入れ続けなくてはなりません。

ただ、そうやって自習をまじめに積み重ねていたとしても、自分が知らないことを質問されるのは日常茶飯事です。

働いていて、

「また、今日も質問に答えられなかった…」

とがっかりすることも多いでしょう。

大丈夫です。

落ち込みはしますが、それは全国のどのインストラクターでも同じ経験をしています。

見習いインストラクターでも、ベテランインストラクターでも、質問に答えられないことは多々あります。

「知らないことは知らない」と割り切って、調べて答えたり、同僚に聞いたりするしかありません。

筆者もプレッシャーに弱く、インストラクターになりたてのころは、

「質問されたくない…うわ、知らないことの質問がきた…」

という弱っちい精神で働いていました。

けれども、人間、万能なAIでも神様でもないので、それは仕方ありません。

ひたすら生徒さんのために頑張ろうと、「修行」と思ってただひたすらに耐えるのみです。

質問に答えられなければ恥ずかしいですが、恥という多大な犠牲を払って自分が手に入れた経験です。

その経験は、実際にパソコンインストラクターの実務でしか得られないもの。

知らない質問が来たら、自分の勉強になるチャンスと思うこと。

そう考えるようになると、気持ちがラクな状態で働けるようになりました。

プログラミング・プログラミング教育の知識はこれからは必須

今までプログラミングは、情報系の大学を出ている人や、もともと自分でプログラムを組んでいた人などなど、専門的に詳しい人たちの「専門分野」といった感じでしたので、一般的にはあまり身近ではありませんでした。

けれども、

  • 2020年のプログラミング教育の義務化
  • 副業ブームでのプログラマー需要の増加

等を考えると、以前に比べて私たちに身近な存在になってきました。

子どもたちの学校の勉強でも、プログラミングの要素が取り入れられた内容が扱われていますので、教室に通うお子さんがいれば、保護者の方から

「学校でやっているプログラミング教育って、実際にどんなことをやるの?」

という質問が来てもおかしくありません。

また、インターネット上でも

「週3日でプログラマーで働いて月67万円!」

といった、本当かどうかも疑わしい広告も出ていたりして、プログラマーになると手軽に儲けられるといったイメージを持っている人も中にはいます。

  • プログラマーは簡単になれるのかどうか
  • プログラミング言語はどんなものがあるのか
  • プログラミングができるようになってどのような仕事ができるのか
  • プログラミングの勉強方法はどんなものか

などなど、一般の方が持つような疑問にも、一通り答えられるようになっておかなければなりません。

もちろん、インストラクターになったばかり時期は、意識しなくてもよいですが、いずれはプログラミングに関する事項についても見識を深めておくことが必要です。

パソコン教室インストラクターの将来性は?

パソコン教室の将来性は?

パソコン教室自体が将来存続するかと言われれば、100%存続するとは言えません。

なぜなら、学校現場では子どもたちが授業を通してパソコンを触る機会は確実に増えてきているので、「一からパソコンを触ったことがない」という方の数は、将来は少なくなるでしょう。

しかし、「エクセル」や「パワーポイント」などのソフトを、学校で「将来仕事に使えるレベル」まで習うかどうか、というとそうではありません。

実用的なパソコンスキルを身につけるには、どうしても学校以外の機会が必要になってきます。

そのため、パソコン教室自体が完全になくなることはないと思います。

パソコンインストラクターの将来性は?

先ほど申し上げた通り、パソコン教室は将来100%なくなるわけではないので、パソコンインストラクターという仕事は簡単にはなくならないでしょう。

けれども、今までのイメージのように、Word・Excel・PowerPointだけを教えていればいいというような状況ではなくなってきています。

生徒さんが求める情報も変わってきていて、今までのOfficeの知識に加え、

  • ホームページ作成(マークアップ言語、Wordpress、JIMDO、WIX、ペライチなど作成ツール)
  • 画像編集(Photoshopなどの画像編集ソフト)
  • パソコンでのイラスト作成(Illustratorなどのソフト)
  • 動画編集(Premiere Proなどの動画編集ソフト)
  • スマートフォン操作の全般
  • プログラミング学習(子供向けプログラミングや、大人が学習できる言語)

などなど、対応する内容が専門的に。

今までは専門的な分野で仕事をしている人たちにしか需要がなかったものが、どんどん一般に身近なものになり、私たちが対応するべき内容も多様になっています。

そのため、これらの内容に深くなくてもある程度対応できるのならば、パソコンインストラクターとして生き残っていけるでしょう。

けれども、Officeしかつかえないインストラクター、教室であれば、需要はどんどん減っていきます。

そのため、インストラクターとして食べていくのならば、自分たちの専門分野を増やしていく覚悟が必要です。

転職も一つの道

また、将来、パソコン教室以外の職種に就く場合でも、経験は他で活かすことができます。

ある程度オフィス系ソフト(Word、Excel、PowerPoint)以外のIT系の知識が(セキュリティやネットワーク関係等)あるのであれば、今話題の学校現場をサポートする「ICT支援員」の仕事や、学校や企業での「ヘルプデスク」など、IT系統の職業への転職もしやすいでしょう。

ICT支援員

小学校、中学校、高校に派遣されて、主に授業や担任の先生のサポートをすることが多いです。

  • パソコン・タブレットの使い方のサポート
  • パソコン・タブレット等で起こったトラブルの解決
  • 機器の使用に関するマニュアル作成
  • 授業内でのIT機器使用方法に関する提案、サポート

などなど、主に以上のことが仕事内容です。

「人に教える」というインストラクター業を経験すると、「人に伝える」ということに自然とたけていくことになりますので、その点が重宝されることもあります。

加えて、パソコン教室ではあまり使わないプロジェクターの使い方も知っておかなければならなかったりと、ITの知識だけではなく、学校現場に寄り添って対応していく力が必要となってきます。

学校ではやはり先生方の言うことは「絶対」であったりするので、なるべくその意図に沿ったサポート・提案ができれば、現場でも重宝されるでしょう。

たまにIT分野に詳しい学校の先生がいらっしゃったりもするので、どう折り合いをつけて仕事をするかも考えるなど、ITの知識だけではやっていけない部分もあったりします。

ヘルプデスク

こちらもICT支援員と少し内容が似ている職業ですが、企業や大学などの法人でのITサポートの仕事です。

先ほどお伝えしたような、

  • パソコン・タブレットなど機器の使い方のサポート
  • パソコン・タブレット等で起こったトラブルの解決
  • 機器の使用に関するマニュアル作成

といった仕事に加え、

  • 企業や学校独自で使用しているシステムの管理やサポート
  • IT機器(パソコンなど)のキッティング(組み立てなど)、設置
  • システム上で使用するIDなどの発行・管理

などの仕事も任せられることがあります。

そのため、パソコン教室の知識だけではやっていけないこともあるでしょうから、こちらについても専門知識を自分で身につけなければいけません。

中には専門的な資格(ネットワーク関係の資格、セキュリティの資格など)を取らなければいけなかったりしますので、この職種でも絶えず勉強が必要です。

プログラマー・システムエンジニア

少し異業種ではありますが、プログラマーやシステムエンジニアも一つの道です。

もちろん、プログラミングをしたことがない、言語も書くことができないといった状況ではほとんど難しいですが、自分で勉強を重ねて、ある程度のプログラムが書けるのならばありえない話ではありません。

実務経験を求める求人もあれば、中には全くの未経験者からでも採用を行っている会社もあり、様々です。

アプリを開発する仕事、ホームページを作成する仕事、公共のシステムを開発する仕事などなど、プログラマーでも多様な仕事があります。

(詳しく言い出すときりがないので、この程度にとどめておきます)

基本的に研修はある会社が多いです。

中にはマンツーマンで教えてくれる研修体制をとっているところもあるようですので、業務を進めるうえでの知識がなくてもその辺はフォローがあると思って大丈夫でしょう。

ただ、この職種も絶えず勉強が必要だったり、資格を取らなければいけなかったり(基本情報処理技術者試験や応用情報処理技術者などなど)しますので、仕事と自習のハードライフへの覚悟は必要です。

パソコン教室での仕事のまとめ

パソコン教室での「仕事内容」「必要な資格」「将来性」についてお伝えしてきました。

あくまでもパソコン教室に勤務する筆者の独断目線ですが、これからパソコン教室で働こうとされている方々、考えられている方の参考になりましたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

他にもこんな記事が読まれています